非正規雇用とは
非正規雇用とは
35%を超え、過去最高の非正規割合
総務省統計局による労働力調査(平成25年2月)によると、
役員以外の雇用者のうち非正規労働者の割合は前年より
0.1ポイント増の35.2%と3年連続で過去最高を更新しています。
雇用者は5154万人で前年に比べ9万人の減少で、そのうち、
正規労働者は12万人の減少なのに対し、パートやアルバイトなどの
非正規労働者は2万人の増加でした。
男女別で見ると非正規の約7割が女性となっています。
また女性は非正規と正規が約半々の割合ですが、年代別で割合に差が
あることに特徴があり、25~34歳では非正規4割、正規6割と正規割合が
高いですが、年齢が上がると次第に非正規割合が高くなっています。
ところで非正規労働者とは
前掲の労働力調査では、「勤め先で正規の職員・従業員」と呼ばれている
労働者を正規労働者としています。
それ以外の
「パート」、「アルバイト」、「派遣労働者」、
「契約社員」、「嘱託」、「期間工」
などと呼称される人を非正規として統計をとっています。
労働時間が短いからとか、期間の定めがある契約だから非正規労働者と
いうことではなく、“勤め先での呼称”によって、正規と非正規を区分
しています。
正規労働者の特徴
一般的には正規労働者(正社員)であれば長期の雇用が保証され、
昇給があり賞与が支給され、退職金があるイメージですが、
サービス業の従事者が増えてきており、昇給・賞与、あるいは
退職金がない正規労働者も多くいます。
また年収で非正規を上回るから正社員ということもいえないでしょう。
では正社員とはなぜ正社員と呼ばれるのでしょう。
正社員の特徴は以下の5つあると考えられます。
① 正社員の呼称で雇用される
② 基幹的・恒常的業務がある企業に直接雇用された者である
③ 契約期間の定めがない
④ フルタイム労働する
⑤ 一定の待遇保障と継続的教育研修を受ける
パートタイマーは上記④の点が欠け、
有期契約労働者は上記③の点が欠け、
派遣労働者として就労する労働者で上記①の要素がある者についても、
上記②の点が欠けることから、これらはいずれも非正規労働者と
いえます。
非正規で正規の代用
昭和59年頃、雇用者に占める非正規の割合は15%程度でした。
平成に入って2割を超え、平成15年以降3割を超えるようになり、
現在の3割5分となっています。
平成二桁代は、正社員を雇用するにはコストがかかるため、その替りに、
正社員とほぼ同じ労働時間で働く有期契約労働者や、派遣労働者が
増えたと考えられます。
非正規雇用の労働者が若年層を中心に増加し、雇用が不安定、
賃金が低い、能力開発の機会が少ないといった問題が出てきています。
非正規を保護する法改正
有期労働契約が5年を超えて反復・更新した場合、労働者は
無期労働契約に転換させる仕組みが労働契約法の改正で導入
されています。
また、派遣法の改正(派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者
につき、無期雇用への転換推進措置が努力義務化される)、
高年齢者雇用安定法の改正も非正規労働者の保護に向けた動きと
考えることができます。
正社員に転換する仕組みを設けるなら
無期労働契約への転換ルールは、有期契約の労働者の雇用の安定を図る
ことを目的としています。
無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は別段の
定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。
賞与や退職金の仕組みがある正社員と同じような労働条件にしなければ
ならないものではありません。
ただ、正社員登用制度を導入することができれば、契約社員の
モチベーションを上げることができるでしょう。
労働契約法が改正されるとはいえ、直ちに今の契約社員と
の労働条件を変える必要はありませんが、一定の選考試験に合格した
場合に正社員に登用する制度を導入することも、
検討すべき時期になったのかもしれません。